第1節:バングラデシュ農業の概要
バングラデシュは南アジアに位置する農業国であり、国民の約40%が農業に従事しているとされます。農業はGDPの12~14%を占め、依然として国内経済の基盤をなしています。主な農産物は、米(稲作)、小麦、トウモロコシ、野菜、果物、ジャガイモ、サトウキビ、マスタード(からし菜)、ジュート(黄麻)などであり、近年では果樹や畜産、養殖にも多様化が進んでいます。
農業は主に中小規模の家族経営で行われており、全国の農家の95%以上が1ヘクタール未満の農地を耕作しています。また、バングラデシュはガンジス川デルタに位置し、水資源が豊富で肥沃な土地を有することから、年に3回作物を収穫することも可能な地域が存在します。特に灌漑インフラの整備と、稲の高収量品種の導入によって、米の収穫量は劇的に増加しています。
第2節:農業人材のスキルと経験
バングラデシュの農業人材は、実践的なスキルを持つことが最大の特徴です。農家の子として生まれ、幼少期から農作業を手伝う習慣があり、鍬の使い方、水の管理、堆肥の施し方、収穫、選別、乾燥といった一連の作業を日常的に体験して育ちます。以下にバングラデシュ農業人材の主なスキルを挙げます。
- 稲作に関する実務経験:手植え・機械植えの双方に対応できる労働者が多く、苗床の準備から田植え、除草、収穫、乾燥、脱穀まで対応可能です。
- 野菜栽培:トマト、ナス、唐辛子、カリフラワーなど、露地野菜の栽培が盛んであり、年間を通じた多品目栽培に習熟しています。
- 有機農法・伝統農法:化学肥料や農薬の使用が制限されている地域も多く、コンポストや自然農薬の利用経験があります。
- 家畜・鶏の飼育:農家の副業として、牛・山羊・鶏の飼育を行っており、簡易な畜舎の管理や餌やり、病気の初期対応の経験があります。
- 農業用機械の基本操作:トラクター、脱穀機、ポンプの基本的な操作や簡単な修理ができる技能者も増えてきています。
第3節:教育制度と農業訓練
農業高校や技術訓練センター(TVET)において、農業専門教育が提供されています。特に近年は政府とNGO、JICAなどの国際機関の支援により、農業分野における技能訓練が拡充しています。日本向けの技能実習候補者には、出国前に日本語、日本文化、衛生、安全、5Sなどを含むプレトレーニングが実施され、農業分野ではビニールハウス管理や農業機械の基本操作も含まれています。
第4節:日本における農業技能実習の受け入れ状況
日本の農業分野においても慢性的な人手不足が続いており、技能実習制度の下で外国人実習生が重要な労働力として位置づけられています。農業分野の技能実習には、「耕種農業」と「畜産農業」があり、耕種には施設園芸(ビニールハウス栽培)、露地野菜、果樹、花卉栽培などが含まれます。畜産では、肉牛、乳牛、養豚、養鶏などの飼育管理が対象です。
2023年時点で、日本全国における農業分野の技能実習生は約3万人以上で、その中にはベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピンなどに加えて、バングラデシュ人も着実に増加しています。
第5節:バングラデシュ人材の出稼ぎ適正
バングラデシュ人農業人材の日本での技能実習生としての出稼ぎ適正は以下の観点から高いと評価されます。
- 勤勉性と粘り強さ:厳しい自然条件のもとで農作業を続けてきた経験が、長時間にわたる作業や単調な作業にも耐える力となっています。
- コミュニティ志向と協調性:農村部では共同作業が基本であるため、集団生活やグループワークに適応しやすい傾向があります。
- 技術吸収力:機械や新しい栽培方法に対する柔軟な対応力を持ち、訓練での習得が早いと評判です。
- 日本語学習意欲:技能実習への応募時点での日本語能力(N5〜N4相当)が高い者が多く、日本人との意思疎通にも積極的です。
特に注目すべきは、バングラデシュ人男性の労働意欲と身体的なタフさです。ASEAN諸国の中でも、バングラデシュの男性労働者は体力があり、野外作業や力仕事にも積極的に取り組む姿勢が見られます。これは日常的に農作業や建設労働など重労働をこなしている背景があり、現場における即戦力として高く評価されています。特に施設園芸における重たい資材運搬、長時間の屈み作業、炎天下での作業など、日本人労働者が敬遠しがちな作業にも前向きに取り組む傾向があります。
第6節:課題と展望
とはいえ、バングラデシュ人材にも課題は存在します。例えば以下の点が挙げられます。
- 日本の寒冷な気候への適応に時間がかかること
- 一部において農業機械の高度な運用経験が不足していること
- 日本語の読み書きが苦手な人材も一定数存在すること
しかしこれらは、受け入れ前の研修や受け入れ後のOJTによって十分にカバー可能です。むしろ農業に対する情熱や継続性、そして勤労倫理の高さが評価されることで、今後の受け入れ拡大が見込まれます。
第7節:結論
バングラデシュの農業人材は、豊富な実務経験、勤勉な労働観、適応力の高さを備えており、日本の農業分野における技能実習生として非常に適しています。特に男性人材の労働意欲、体力、現場対応力はASEAN諸国の中でも際立っており、日本の農業現場での即戦力となる可能性を十分に秘めています。
今後、日本の農業現場が持続可能な形で人材確保を行うには、バングラデシュ人材を積極的に受け入れ、実習後の帰国支援や技能継承を含むパートナーシップを築くことが望まれます。
日本国内連絡先
認定送出機関GRAバングラデシュ/バングラビジネスパートナーズ/OCGコンサルティング(派遣・紹介免許保有)
〒150-0043東京都渋谷区道玄坂1-9-4ODAビル3階Tel:03-3462-0151
代表:岡崎透
www.gra81.com (日本サイト)
www.bangla-business-partners.com
送出機関 現地法人
ダフォディル大学グループ・GRAグローバルリクルーティングエージェンシー/ M/S Global Recruiting Agency
Daffodil Tower 04: 102/1, Shukrabad, Mirpur Road, Dhanmondi, Dhaka-1207, Bangladesh.
Tel: +8802 8156524, 01811-458868 / 現地代表:Mohammad Nuruzzaman 現地担当:Neamat Ullah , 日本代表 Toru Okazaki
お問い合わせはこちらからお願します