GRAによる入国後のサポート提供

~入国後も安心のサポート体制を構築するために

 

私たち送り出し機関は、単なる送り出しで終わる存在ではありません。技能実習制度は、国境を越えた人材育成事業であり、人と人、国と国をつなぐ重要な橋渡し役です。入国後の実習生が安心して生活し、円滑に技能習得できるようにするためには、日本国内での支援が極めて重要です。ここでは、私たち送り出し機関が実務上、入国後に実際に行っている多岐にわたる支援業務について詳しくご紹介いたします。


1. 定期的なフォローアップ・モニタリング

1)実習生への定期ヒアリング

入国後、実習生が新しい環境に慣れるまでには多くのストレスがあります。日本語の壁、職場文化の違い、生活習慣のギャップなど、困りごとは多岐にわたります。

私たちは、以下のような形で実習生への定期的なヒアリングを実施しています。

  • 母国語による電話・オンライン面談
  • 月次または隔月のアンケート調査
  • 個別の悩みやトラブルの聞き取り
  • 生活状況、健康状態の確認
  • 職場での人間関係、業務の理解度の確認

このヒアリングを通じて、実習生が小さな不安を抱え込まずに済むよう努めています。些細な違和感や悩みを早期に察知し、監理団体・受入企業と情報を共有することで、トラブルを未然に防いでいます。


2)監理団体への報告

実習生から得た情報は、監理団体と速やかに共有し、必要に応じて調整を行います。

  • 職場でのコミュニケーションの問題
  • 生活環境の不安(寮の問題、近隣トラブルなど)
  • 健康面の懸念
  • 精神的ストレスや孤独感

監理団体からの要請により、当方が母国語で再度ヒアリングを行うことも多く、解決策を提案します。


2. 緊急対応のバックアップ体制

技能実習生の受入れにおいて最も重要なのが、緊急時の迅速な対応です。送り出し機関として、入国後も以下のような対応を行っております。

1)医療・事故対応のサポート

  • 急病や怪我の際の病院手配
  • 医療通訳の手配支援
  • 母国への家族への連絡代行
  • 保険手続きに関するアドバイス

特に医療通訳の手配は、実習生が日本語で医師に自分の症状を説明できない場合に不可欠であり、当機関の母国語対応スタッフが遠隔で通訳に入ることもあります。


2)問題行動・失踪リスク対応

入国後、以下のような問題が起きることも少なくありません。

  • 失踪リスクの兆候
  • 職場への不満から無断欠勤
  • 金銭トラブルによる精神的不安

私たちは実習生の動向に敏感にアンテナを張り、監理団体や受入企業から連絡があれば即時対応します。例えば実習生本人への母国語カウンセリングを行い、落ち着いてもらうよう努めています。


3. 文化・生活面の支援

技能実習制度は単なる「労働」ではなく「人づくり」です。実習生が文化の違いを理解し、安心して生活できるよう、次のような支援を行っています。

1)生活オリエンテーションの補助

監理団体が実施する入国後講習において、以下のような部分を当機関が母国語でフォローすることも多いです。

  • 日本のゴミ分別ルール
  • 公共交通機関の利用方法
  • 病院のかかり方
  • 緊急連絡先の確認
  • 消防・防災の基礎知識

実習生の理解度に応じ、動画や母国語資料を用いた説明を行い、定着を図ります。


2)文化摩擦の解消支援

実習生が日本社会で誤解を受けやすい行動について、次のように支援しています。

  • 職場での言葉遣いや態度指導
  • 日本人の価値観(報告・連絡・相談の重要性など)の伝達
  • 寮生活のルールやマナーの指導

私たちが母国語で説明することで、実習生が誤解や抵抗感を持たずに理解できるため、結果として受入企業様からも高い評価をいただいています。


4. 企業・監理団体への相談対応

監理団体や受入企業様が、次のような場面で当機関へ相談されることは非常に多いです。

  • 実習生の言動で困ったことがある
  • 通訳を通しても実習生が理解できない
  • 実習生が不安定で退職を考えている
  • 文化的背景を知りたい

当機関は単なる送り出しではなく、監理団体・受入企業様の「パートナー」として機能していると自負しております。


5. 書類・手続きの支援

実習生の在留カード、技能検定試験の受験申請、住民票取得など、入国後には多くの手続きが発生します。送り出し機関として次のようなサポートを実施しています。

  • 母国語で書類の記入方法を説明
  • 不備があった際の再作成指導
  • 試験日程や必要書類の情報提供
  • 監理団体・受入企業様との連絡調整

書類手続きが滞ると、実習生の不安が一気に高まり、退職リスクや失踪リスクにつながるため、迅速な対応を心がけています。


6. 家族への情報共有

母国にいる家族にとっても、実習生が日本で元気に過ごしているかは最大の関心事です。私たちは以下のように家族への情報共有も行っています。

  • 定期的に家族へ報告書を送付
  • 電話やSNSを用いた状況報告
  • 家族からの要望や相談への対応

家族が安心していることで、実習生自身も安心して日本で頑張ることができます。


7. 精神面のサポート

特にコロナ禍以降、実習生のメンタルヘルスケアは大きな課題となっています。送り出し機関として以下のような対応を強化しています。

  • 母国語カウンセリングの実施
  • SNS相談窓口の開設
  • 孤独感を和らげるためのオンライン交流会の実施
  • 帰国希望の早期察知と調整

監理団体・受入企業様にとっても、精神的な問題を抱える実習生への対応は非常に大きな負担です。当機関が間に入ることで負担を軽減できると自負しております。


8. 特定技能への移行支援

近年、技能実習から特定技能への移行希望者が増加しています。当機関では以下のような支援を行っています。

  • 特定技能試験の情報提供
  • 試験対策教材の母国語翻訳
  • 移行に関する書類作成支援
  • 監理団体・企業様との移行スケジュール調整

これにより、実習生が安心してステップアップでき、受入企業様も安定した雇用確保が可能となります。


9. 日本語能力の継続支援

入国後、現場での会話力が課題となることが多いため、当機関では次のような取り組みを行っています。

  • 母国語解説付きのeラーニング提供
  • オンライン日本語講座の開催
  • 日本語能力試験(JLPT)受験指導
  • 日本語日記の添削サービス

監理団体・受入企業様からも「日本語レベルが明らかに上がった」と高い評価をいただいており、職場のコミュニケーション改善に直結しています。


送り出し機関としての誇り

私たち送り出し機関は、単に人材を送り出す存在ではなく、実習生、監理団体、受入企業、そして送り出し国の家族すべての信頼を得て、技能実習制度の円滑な運用を支える重要なパートナーだと自負しております。

入国後のサポートを充実させることで、以下の効果が得られます。

実習生の定着率向上
職場でのトラブル減少
監理団体・受入企業様の負担軽減
技能実習制度の社会的信用の向上

 

ぜひ、監理団体様、受入企業様には、送り出し機関のこうした入国後支援の活用をご検討いただきたく存じます。私たちは制度の成功のため、共に歩むパートナーであり続けます。