バングラデシュ実習生送出しの流れ

バングラデシュからの技能実習生送出しをスムーズに最短で対応いたします。

技能実習制度におけるバングラデシュからの技能実習生受入れの流れ

~管理団体業務の詳細解説~


1. 契約手続き

技能実習制度において、管理団体がバングラデシュから技能実習生を受け入れる場合、まず取り掛からなければならないのが、受入企業(実習実施者)との契約手続きです。ここでいう契約とは、技能実習生を適正に監理・指導するための管理費用、監理内容、役割分担、及び受入れに関連するすべての業務の範囲を明文化するものを指します。

管理団体は、受入企業の希望する職種や作業内容、受入人数、受入時期をヒアリングし、実習実施者の事業計画や経営状況も確認します。これは後の技能実習計画作成の基礎資料になるだけでなく、適正な監理責任を果たす上で重要な作業です。

また、管理団体は、受入企業との間で「技能実習監理契約書」を締結します。この契約書には、以下のような項目が必ず含まれます。

  • 技能実習生の受入人数および期間
  • 技能実習生の職種・作業内容
  • 技能実習計画の作成責任
  • 管理費の額および支払い条件
  • 監理団体が行う巡回指導・講習の内容
  • トラブル発生時の対応責任

さらに、バングラデシュの送り出し機関との契約も並行して進めます。送り出し機関の選定は非常に重要で、バングラデシュ政府の認定を受けているか、過去の送出し実績、失踪率の低さなどを必ず確認します。ここで作成する契約書には、送り出し手数料、候補者の教育内容、送り出しスケジュール、送り出し後のフォロー体制などが詳細に記載されます。

契約手続きは、後のすべての工程の土台であり、双方の責任範囲を明確にするために極めて重要です。ここを疎かにすると、実習生入国後のトラブルの原因になるため、管理団体としては慎重に行う必要があります。


2. ディマンドレター

「ディマンドレター」は、管理団体が送り出し機関に対して発行する公式の人材要請書です。これは技能実習制度において、送り出し国であるバングラデシュの労働省や入国管理当局が正式な送り出し手続きを行うために必須の書類です。

ディマンドレターには以下のような項目を詳細に記載します。

  • 必要とする職種
  • 作業内容の詳細
  • 受入予定人数
  • 勤務地
  • 月額賃金
  • 勤務時間、休日
  • 契約期間
  • 技能実習計画の概要
  • 食費や寮費の負担割合
  • 福利厚生内容
  • 採用基準(性別、年齢、学歴、経験など)

管理団体は、ディマンドレターを作成する際、受入企業の希望を反映しつつ、労働基準法をはじめとする日本国内法に準拠しているかを厳密にチェックします。

作成後、管理団体は送り出し機関にディマンドレターを送付し、送り出し機関はこれを現地労働省へ提出し、正式な許可を得る流れになります。バングラデシュの場合、ディマンドレターは政府当局の許可を得ることが義務づけられており、これがないと候補者募集を開始できません。

この段階では管理団体と送り出し機関の連携が極めて重要です。情報の行き違いを防ぐため、管理団体はディマンドレター送付後も内容確認を徹底し、疑義があれば即時修正依頼を行います。


3. 候補者面談

ディマンドレターの承認を得た後、送り出し機関は技能実習生候補者の募集を開始します。そして、一定数の候補者が集まると、管理団体および受入企業による「候補者面談」が行われます。

面談は通常、以下の2つの方法で実施されます。

  • 現地面談(バングラデシュ訪問)
  • オンライン面談(Zoom等のツール利用)

現地面談では、日本側の担当者がバングラデシュを訪問し、候補者一人ひとりと直接対面します。オンライン面談は近年、特にコロナ禍で主流となってきました。

面談では以下のポイントを確認します。

  • 日本語レベルの確認(自己紹介、基本的な質問応答)
  • コミュニケーション力
  • 体格や健康状態
  • 意欲や動機
  • 家族の理解度
  • 性格診断

面談には通訳が同席し、候補者の緊張を和らげる配慮も重要です。管理団体としては、単なる学歴やスキルだけでなく、日本での集団生活に適応できる協調性、真面目さ、ストレス耐性を特に重視します。

また、面談では候補者の家族についても質問を行い、送り出し後に家族からの経済的圧力が過度にかかる恐れがないか、家庭環境に問題がないかを確認します。失踪防止の観点から、家族の理解と協力は極めて重要です。

面談の結果をもとに、受入企業が採用内定者を決定します。ここで決定した候補者が、次の「内定書作成と個人情報収集」に進みます。


4. 内定書作成と個人情報収集

面談を経て受入企業が採用内定を出すと、管理団体は「内定書」の作成に移ります。内定書には以下の内容が記載されます。

  • 採用者氏名
  • 生年月日
  • 性別
  • 採用職種
  • 採用人数
  • 入国予定時期
  • 雇用条件(賃金、勤務時間、休日)
  • 宿舎情報
  • 研修期間・内容

この内定書は送り出し機関に送られ、候補者に正式に提示されます。また、送り出し機関側からも、内定書を受領した旨の確認書を返送してもらうことで、書類の正確性と相互認識を確保します。

並行して管理団体は個人情報の収集を進めます。具体的には以下の書類を集めます。

  • パスポートコピー
  • 戸籍謄本
  • 学歴証明書
  • 職歴証明書
  • 健康診断書
  • 家族情報
  • 顔写真

これらの情報は、次の在留資格申請や技能実習計画書の作成に不可欠です。ここでの情報が不備だと在留資格申請が却下される恐れがあるため、管理団体は送り出し機関に対して徹底的に書類の精査を求めます。


5. 実習計画作成・提出

内定者が確定し、個人情報の収集が整うと、管理団体は「技能実習計画」の作成に取り掛かります。技能実習制度において、この計画書は制度の根幹を成すものであり、技能実習機構(OTIT)の認定を受ける必要があります。計画の認定が下りない限り、技能実習生の入国も実習開始もできません。

技能実習計画には、以下の詳細を記載します。

  • 実習実施者の概要
  • 技能実習生の氏名、年齢、経歴
  • 実習の具体的内容
  • 実習の期間
  • 実習の場所
  • 指導体制
  • 賃金、労働条件
  • 宿舎の状況
  • 入国後講習の実施計画
  • 技能検定受検の予定

また、計画書の中には「監理団体がどのように実習を監理するか」についての詳細な監理計画も含める必要があります。巡回指導の頻度、生活指導の実施方法、トラブル発生時の対応などが具体的に問われます。

特にバングラデシュからの実習生の場合、文化や宗教面の違いに配慮した指導方法を記載することが非常に重要です。例えば:

  • 食事に関する宗教上の制限
  • 礼拝の習慣への理解
  • 生活習慣上の留意点

これらを明記することで、受入後のトラブルを大幅に減らすことができます。

作成した技能実習計画書はOTITに提出し、内容審査を受けます。審査には以下の点が厳しくチェックされます。

  • 実習内容が単純労働に該当しないか
  • 実習内容が技能検定の範囲と一致しているか
  • 労働条件が法令に準拠しているか
  • 監理体制が整備されているか

計画が不備の場合、修正指示が出されるため、管理団体は迅速に対応しなければなりません。このプロセスは入国までのスケジュールに大きく影響するため、計画書の作成は正確性とスピードが非常に求められる業務です。


6. 在留資格申請・認可

技能実習計画の認定が下りたら、次は入国管理局への「在留資格認定証明書交付申請」に進みます。管理団体は、OTITの認定通知を受領後、入国管理局への提出書類を作成します。

主な提出書類は以下の通りです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 技能実習計画認定通知書の写し
  • 技能実習生の個人情報書類(戸籍、学歴、職歴など)
  • 雇用契約書
  • 監理団体と受入企業の契約書
  • 送出し機関との契約書
  • 健康診断書

特に重要なのは、技能実習計画書に記載した内容と申請書類が完全に一致していることです。入管は書類の内容が少しでも異なると受理を拒否するか、追加資料を求める場合があります。

また、バングラデシュ人材の場合、宗教や名前の表記、家族構成の証明が非常に複雑です。パスポートや戸籍の表記揺れが多く、例えば同一人物なのに名前のスペルが書類ごとに違うことも珍しくありません。管理団体は、送り出し機関と密に連絡を取り合い、書類の記載を統一する必要があります。

在留資格認定証明書(COE)が交付されるまでには通常、1か月半~3か月程度かかります。ただし、書類の不備や追加資料の提出を求められると、さらに時間が延びる場合があります。

COEが交付されると、管理団体は送り出し機関に原本を郵送し、次のビザ申請の準備を進めます。


7. ビザ取得・渡航準備

在留資格認定証明書(COE)を取得した後、送り出し機関はバングラデシュの日本大使館に対してビザの申請を行います。ビザ申請には以下の書類が必要です。

  • COEの原本およびコピー
  • パスポート
  • 写真
  • ビザ申請書
  • 雇用契約書(翻訳付き)
  • その他大使館が指定する書類

バングラデシュの日本大使館では、COEの真偽確認や本人確認が行われ、追加面談が課されることもあります。特に近年は、実習生の失踪防止のため、面接が強化されています。

ビザが発給されると、次は渡航の手配です。ここでは管理団体と送り出し機関が密に連携し、以下を調整します。

  • 航空券の手配
  • 空港での送迎体制の確立
  • 入国後研修施設への連絡
  • 日本側受入体制の確認
  • 渡航前の最終オリエンテーション

この最終オリエンテーションでは、実習生に以下を再度説明します。

  • 日本での生活ルール
  • 入国後のスケジュール
  • 緊急連絡先
  • 入国審査の流れ

管理団体としては、実習生が空港で入国拒否されることがないよう、すべての手続きを慎重に進めることが重要です。


8. 入国後研修

無事に入国を果たした実習生は、まず「入国後研修」を受けます。これは技能実習制度上、法律で義務付けられており、受入初年度の実習総時間のうち原則1/6以上(例:320時間以上)を充てなければなりません。ただし、送り出し機関で160時間以上の研修を修了している場合は1/12以上(例:160時間以上)に短縮可能です。

入国後研修は主に以下の内容で構成されます。

  • 日本語教育(会話、読み書き、職場用語)
  • 法的保護に関する教育(労働法、労災制度、最低賃金など)
  • 日本での生活一般(ゴミ出し、交通ルール、防災など)
  • 技能実習の基本知識
  • トラブル回避のための心構え

管理団体は、研修カリキュラムを計画し、監理団体講師または提携教育機関の講師が研修を担当します。特にバングラデシュ人材の場合、宗教や文化の違いを踏まえた研修内容の配慮が欠かせません。例えば:

  • ハラル食の説明
  • 礼拝時間の確保
  • 男性・女性混合クラスへの配慮

入国後研修では、管理団体が実習生の健康状態やメンタル面を把握する重要な機会でもあります。言葉には出さなくても不安を抱える実習生も多いため、研修中に個別面談を行い、悩みを聞き出すことが奨励されます。

研修の最後には習得度確認テストを実施し、結果を受入企業に報告します。管理団体としては、この研修を終えることで初めて、実習生を各受入企業へ配置する準備が整います。


以上が、バングラデシュからの技能実習生の契約から受入までの管理団体側の手続きの詳細な流れです。全体を通じて重要なのは、送り出し機関、監理団体、受入企業の三者の連携です。特にバングラデシュは文化や宗教の背景が日本と大きく異なるため、配慮と丁寧な手続きが成功の鍵を握ります。管理団体としては、制度の正確な理解と実習生に対するきめ細かな対応が、失踪防止や定着率向上につながる最重要ポイントとなります。