バングラデシュ人材が農業・漁業分野で適する理由:民族的・地域的特性を踏まえて

 

 

 

 

はじめに

バングラデシュは、南アジアに位置する人口約1億7千万人の国であり、国民の多くが農業や漁業といった第一次産業に従事している国です。そのため、同国には自然環境のなかで体得された技能や経験をもとにした労働力が豊富に存在します。日本が実施する技能実習制度において、農業や漁業分野での実習生受け入れが求められる中、バングラデシュ人材は高い適性を持つと評価されています。本稿では、バングラデシュ人材の農業・漁業における技能実習生としての適性について、民族的および地域的特性を踏まえつつ、約5,000字の分量で考察します。

 

第1章:農業分野における適性

1-1. 農業国家としての土壌 バングラデシュは国土の大部分がガンジス川デルタに位置しており、肥沃な土地と豊かな水資源に恵まれています。国民の約40%が農業に従事し、稲作をはじめとした露地野菜、果樹、花卉、香辛料などの生産が盛んです。多くの家庭では代々農家として暮らしており、子どもたちも幼少期から農作業を手伝う文化が根付いています。

1-2. 技能と経験の蓄積 特に稲作や野菜栽培においては、苗の育成、手植え・機械植え、除草、収穫、乾燥、保存といった一連の作業を熟知しており、日本の農業現場で求められる手作業中心の工程にも柔軟に対応できる力があります。また、有機肥料や堆肥づくり、灌漑施設の維持管理などに関しても日常的なスキルとして身につけている人材が多く、即戦力として評価されています。

1-3. 男性人材のハードワーカー性 農作業には体力を要する場面が多く存在しますが、バングラデシュの男性人材は日常的に力仕事に従事しているため、体力面でも優れています。特に農村部出身の若者は、力仕事や長時間労働への耐性が強く、協調性と責任感を兼ね備えており、作業効率の高いチーム形成が可能です。

1-4. 地域別特性:北部と南部の農業人材 北部(ラジシャヒ、ディナジプールなど)は穀倉地帯として知られ、稲・小麦・ジャガイモの生産が盛んです。これらの地域出身者は、特に露地農業の実践的スキルに長けています。一方、南部(バリサル、クルナなど)では野菜や果樹、湿地農業が行われており、水の管理や収穫調整といった細かな作業への対応力に優れた人材が育っています。

 

第2章:漁業分野における適性

2-1. 豊富な水産資源と漁業文化 バングラデシュは大小の川が国中を網羅し、海岸線も広いため、内水面・海洋の両方において漁業が盛んです。内陸では淡水魚(ロヒ、カトラ、ティラピアなど)の養殖が発展しており、南部沿岸では海水魚(エビ、ロブスター、ヒラメなど)の捕獲・養殖が主流です。約1100万人が漁業に関与しているとされ、これは日本の技能実習制度に適した母集団を形成しています。

2-2. 実地経験に基づくスキル 漁業に関与するバングラデシュ人は、小型ボートの操船、漁網の準備・修理、魚の選別・加工、氷詰め、保存方法などの技能を自然に身につけています。養殖分野でも、水槽管理、水質調整、餌の給餌、魚の健康管理などに関する知識が広く浸透しており、日本の水産現場で求められる基本作業に即応可能な人材が豊富です。

2-3. 地域的な適性:チッタゴン・バリサル・ノアカリ チッタゴンは漁港都市として知られ、船舶の運用や海洋漁業の経験者が多く、日本の沿岸漁業にも適応しやすいスキルセットを持っています。バリサルやノアカリといった南部地域では、養殖業と内水面漁業が発展しており、特にエビや淡水魚の飼育に精通した人材が多いことが特徴です。

 

第3章:民族的特性と就労適性

3-1. 勤勉で我慢強い国民性 バングラデシュ人は勤勉で礼儀正しく、長時間の作業や高温・多湿な環境への適応力に優れています。これは農業・漁業といった現場での労働において極めて重要な資質です。また、上下関係を重んじる文化があるため、職場においても指導者の指示に素直に従う傾向が強いです。

3-2. 宗教と協調性 多くがイスラム教徒でありながらも宗教的寛容性が高く、多国籍な環境にも比較的容易に順応します。日本の職場における集団生活や寮生活にも対応可能であり、周囲との調和を重視した行動が自然に身についています。

3-3. 日本語学習への意欲 バングラデシュ人実習生の多くは、日本語への学習意欲が高く、特に送り出し機関によるプレトレーニングでの語学教育に力を入れています。日本語能力試験N5~N4相当の合格者も多く、現場での基本的なコミュニケーションに支障をきたすことが少ないことも魅力の一つです。

 

おわりに

以上のように、バングラデシュ人材は農業・漁業分野において実践的スキルと身体的能力を備えており、日本の技能実習制度に非常に適しています。地域ごとに異なる強みを持つ人材が存在し、送り出し機関による事前教育体制も整備されているため、即戦力としての活用が期待できます。今後の人材不足に対応する上で、バングラデシュは有力なパートナー国であり続けるとみられます。

このような背景を踏まえ、ぜひバングラデシュからの農業・漁業人材の受入ご検討ください。
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